相続後の相談 ① 相続対策と不動産賃貸経営

2015年06月16日

当協会にて相続手続き・不動産登記・相続税申告などをされたお客さんには、末永いお付き合いをし、より良い人生をサポートしたいという協会の創立理念もあり、顧客特典としてその後も相続された財産について無料相談を受けています。そのせいか、相続後も財産にかかるいろいろな相談が持ち込まれます。

最近多いのは、不動産賃貸経営などの相談です。大手業者が、相続税対策や来年から始まる空家対策のためという名目で、遊休土地や空家をお持ちの方に積極的に提案活動を行っているからと思われます。

「相続税対策で ○○万円、相続税が下がります!」という言葉にひかれ、新たに賃貸経営を検討される方も多いようです。

実際、賃貸経営をすることで、土地は貸家建付け地評価となり、2割前後の評価減を受け、家屋は固定資産税評価を受けた上で貸家の評価減も受けれるため、賃貸し始めた途端、建築投資額の半額以下の相続税評価となるわけです。しかし、その後の賃貸経営自体が成り立つかどうかのチェックを十分されているでしょうか?

先日相談があった事例ですが、業者から相続対策になるからと進められ、その提案書を持ち相談に来られました。今月中だと大幅値引きがあるとのことで、早く購入したいという前のめり状態です。ぱらっと提案書を見ただけで、やめたほうがよいと思いました。

第 1に、30年のシミュレーションの収支がずっとマイナスになっていました。第 2に、投資額に対する家賃収入の割合(実務では表面利回りと言っています)が、非常に低かったからです。

大手業者が、最初から収支マイナスのシミレーションを出すこと自体が信じられない、営業マン自体がよくわかっていないのはもちろんですが、提案業者の組織としてのチェック体制は大丈夫なのかと勘繰ってしまいます。

収支がマイナスになるということは、賃貸経営をすることでお金が持ち出しになる ということです。また、将来その賃貸物件を相続した子供は、赤字を垂れ流しする財産を相続する ということになるわけです。

賃貸経営物件投資には、家賃保証の契約内容、銀行金利、修繕費、サブリース料、建築価額などチェックポイントがいくつかあります。人生で最も高額な買い物(?)なので、後々後悔しないために印鑑をつく前に第 3者の専門家に相談されることをおすすめします。

さて、定期的に行っている日曜セミナーで、この賃貸経営をテーマとし 8月 23日、不動産鑑定士・税理士を講師に、第 3者の立場からそのポイントを説明いたします。7月初めには、協会 HPにセミナー内容をアップするので、ご興味のある方はご確認の上お申し込みください。(協会 HP:http://758souzoku.com/)