[1] 相続放棄

相続放棄とは簡単に言えば相続人でなくなることです。
相続したくない人、また財産よりも債務のほうが多い場合など、
この手続きが必要になりますが、これは裁判所での手続きとなります。
後で説明する「相続分のないことの証明書」(特別受益者)とは、
まったく別の手続きです。これを混同されて放棄の書類を作ってほしい
と言われる方がたまにお見えですがご注意下さい。この手続きをするためには
民法915条第1項に定めがあり、「自己のために相続の開始があったことを
知った時から3ヶ月以内にしなければならない」と規定があります。
一般的には亡くなった時からと考えてください。

[2] 相続分のないことの証明書

民法903条第2項の証明書や特別受益証明書などということもありますが、
これは生前に故人から結婚費用や生活費などで既に相続分の価格以上の援助を
受けているので、今回相続が発生しても何ももらえるものはありません、
と証明するものです。そして、この証明書があれば遺産分割協議書なしで
相続登記を進めることができます。
実際に相続分相当の援助を受けている場合は問題ありませんが、
本当はこのような援助を受けていないにもかかわらず、手続の便宜上このような
書類を提出することは、トラブルのもとになってきますので注意が必要です。
また、[1]でも触れた通り、相続放棄と混同しないでください。
特に問題となるのは、亡くなった人が多額の借金等の債務を残した場合です。
相続放棄をしていればその借金について負担する義務はなくなります。
しかしこの「相続分が無いことの証明書」を出しただけでは相続放棄には
なりませんから、借金だけを負担することにもなりかねません。