分割しずらい不動産。トラブルとならない分け方とは?

2022年02月21日

相続が開始したとき、最も相続人の間で揉めるのが遺産分割についてだと思います。
相続財産が簡単に分割できるものばかりであればよいのですが、土地・建物などの分割しづらい財産があると、その分け方をめぐって相続人同士のトラブルの火種になりかねません。
では、相続財産に不動産があった場合には、どのような分割方法があるのでしょうか。

不動産の分割方法

不動産の分割は主に、下記4つの方法で分割がされます。

(1)現物分割
(2)換価分割
(3)代償分割
(4)共有分割

このなかで、一番対応がしやすく、トラブルが起きづらいのは(2)の換価分割と(3)の代償分割だと思います。一見簡単な共有分割は後から複雑になりやすいので注意が必要です。それぞれの分割方法の詳細は下記の通りです。

(1)現物分割
現物分割は、遺産そのものを現物で分ける方法です。
ケースとして最も多いのは、不動産のほかに財産がある場合に、一つの不動産を一人の相続人が相続し、それ以外の財産をほかの相続人で分ける形です。不動産自体を分割することなく、そのまま相続人が取得できるので、手続きとしては最も簡単といえるでしょう。ただし、相続財産が不動産しかない場合、それ以外の財産をほかの相続人で分けるということができないため、揉める可能性があります。
なお、遺産を各相続人の相続分きっかりに分けることが難しく、相続人間の取得格差が大きくなってしまうときは、一部の資産を売却するなどして、その格差を売却代金で調整したり、自己資金で調整(代償分割)したりします。

(2)換価分割
換価分割は、相続財産である不動産を売却し、その売却益を相続人間で分割する方法です。
たとえば株券や不動産などの相続財産の、全部あるいは一部を売って現金化し、相続人全員で分けることになります。不動産を相続するメリットがない、もしくは現物分割・代償分割が難しいといった場合などに多く用いられます。思い入れのある不動産をすぐに手放すのは心苦しく感じる方も多くお見えになると思いますが、現金化すれば平等に分けることができるため、実際にはトラブル回避のために、選ばれることの多い方法です。

(3)代償分割
代償分割は、特定の相続人が不動産などの現物を相続し、その代償として、ほかの相続人に不動産の相続分に値する金銭を渡す方法です。なお、代償分割を行う際には、

●不動産を相続した側が現金を用意する必要がある
●遺産分割協議書を必ず作成し、相続後のトラブル防止に備える

の2点を忘れないことが大切です。
代償分割は、きちんと手続きを行えば基本的に相続税の課税対象にしかなりません。
代償金の受け渡しは相続財産の調整として扱われ、相続税の総額は変わらないのです。
ただし、そのためには遺産分割協議書内に代償分割に関する記載をしなければならず、そうでない場合は、代償金の支払いが贈与とみなされ、贈与税が課税される恐れがあるため注意が必要です。

(4)共有分割
共有分割は、一つの不動産を相続人同士で共有名義にする方法です。
共有と聞くと一見簡単で、トラブルが起きなさそうな方法に思えますが、財産利用の自由度が非常に低く、たとえば、不動産を売却したり賃貸物件にしたりする場合に、名義人全員の同意が必要となり、手間がかかります。
さらに、共有者に相続が起こると、ますます共有者が増えて所有権が複雑になる恐れがあります。
そのため遺産相続全般において、共有分割はできるだけ避けることが多いのが実情です。

 

分からないことがある、もっと詳しく知りたいという方は、一度専門家へご相談ください。