成年後見制度が発足した平成 12年では、後見人(保佐人、補助人)に選任された者の 90%以上が本人の親族でしたが、平成 26年になると、親族が後見人に選任された割合は 35%にとどまり、親族以外の第三者が選任されている割合が 65%にものぼっています(最高裁判所 HP)。
この背景には、親族後見人による横領などの不正が相次いだことや、後見人不足、裁判所への収支報告義務等負担が大きい、等が考えられます。
上記概況に表れているとおり、成年後見制度の普及とともに、第三者後見人への需要が一層高まっています。市民後見人の養成を進める動きも各地で始まっていますが、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職後見人の養成・供給も期待されています。
ただし、残念ながら、後見人に選任された者が専門職後見人だからといって、不正行為がなくなるわけではありません。
これらの不正を防止するため、最高裁判所が導入の方針を示した「後見制度支援信託」において、日常的な支払のため必要十分な預貯金等を後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託するしくみがあります(ただし、本人に代わって専門職後見人が信託する先や金額を決めてしまうため、信託法でいうところの「信託」の前提である本人の意思尊重の観点から、導入の是非について議論されています)。
このような施策を講じながら、本人が認知症を発症してしまった場合においては、さらなる後見制度の充実が期待されるところです。