相続対策で、忘れられやすい認知症対策

2022年01月24日

相続対策というと、みなさんが心配されるのは相続税対策が多いように思います。

認知症対策

しかし、他の相続対策として、相続争いとならないような争続対策、相続税の納税資金の対策、認知症になった時の対策があります。なかでも、認知症対策は現状は元気でやっているので、対策としてあまり意識はされていないようで忘れられやすい対策です。この対策を放置すると、将来起こるリスクとして、自身の銀行預金を誰も出金できなくなります。判断能力のなくなった認知症の方や本人の子どもが代理で銀行窓口で、ご本人の普通預金からの出金を依頼しても、認知症ですと銀行からは判断能力がないとみなされて、家庭裁判所で後見手続きを進めてくるよう要請されます。ですので介護施設への支払いなどできなくなり、子供が立て替えるなど、必要となってきます。

後見手続き

そこで、家庭裁判所に申請して後見人の手続きを進めることになります。元気なうちに対策を実行している場合、自身の財産管理を息子さんや娘さんなどを選び後見人と指定することもできますが、判断能力がなくなってからの後見手続きとなると、家庭裁判所が指定した士業専門家などが後見人を担当するため、大事な財産管理を全くのあかの他人に任せないといけないこととなりますし、毎月の後見費用も死亡するまで発生します。まだ元気なうちであれば、任意後見手続きをして、御本人が財産管理を安心して任せられる息子さんや娘さんを後見人に指定することもできました。

家族信託

また、判断能力のなくなった親御さん名義の不動産を売却して、介護資金にしたいとの相談をたまに受けることがありますが、「判断能力がなくなった今となっては、なにもできません」と答えるしかありません。この相談ケースでは、まだ親が元気なうちに家族信託契約を結んでおけば、不動産管理を託された子供さんなどが代理で、不動産売買を行うことも可能でした。

認知症となってからの相続対策は、なにも実行できません!

このように、認知症対策は、認知症となり判断能力がなくなってからでは、なにも対策はとれないので、お元気なうちに対策をしておくことが肝要です。判断能力がないので、遺言書の作成もできません。