公正証書遺言に比べて自筆証書遺言は、自分一人で作成できて費用も掛からない為お手軽に思えるかもしれません。しかし自分で書くのは簡単でもそれを相続後に運用するのは大変です。
残された遺族のためにせっかく想いを込めて書いた遺言書。もしその遺言書のために遺族が手続きに四苦八苦するとしたらどうでしょう?遺言書を書いたがために相続手続が煩雑になってしまったり、いらぬ争いを生むのは避けたいのではないでしょうか。
遺言書が使えない?
お母様が亡くなられたAさんは、自筆の遺言書をもって相談に来られました。検認の手続きを経て、遺言の中身を確認したところ、「マンションと、現金はすべてAさんに与える」という内容でした。これでAさんは遺言書を使って相続手続ができると思っていました。しかし、ここで問題が起こりました。
実はお母様はこのマンションに3部屋を所有していたのです。法務局にも確認しましたが、「不動産が特定できない為遺言による名義変更は難しい」との返答でした。
せっかくの遺言書が使えないということです。
遺産分割協議が必要に
結局、他の相続人と遺産分割協議をし、調印後不動産の名義変更を行うことになりました。Aさんは他の相続人全員の署名、実印と印鑑証明書を集めるのに大変苦労されました。