遺言書の有無の確認

2019年07月29日

相続の手続きで、まずしなければならないことは、遺言があるかないかの確認です。遺産分割を終えたあとに遺言書が出てくると、一からやり直しになってしまいます。遺品を整理しつつ、遺言書が保管されていそうな場所を調べましょう。遺言書は、通帳などの重要書類と一緒に、一箇所に保管されていることもあります。他にも、自宅の金庫の中、仏壇の中、権利証と一緒にタンスの中、ファイルの中、机の引き出しの中、額の裏、貸金庫の中と、人によって保管場所は様々です。

遺言書を作った人は、①作成したこと②どこに保管されているか、この2点を信頼できる人に伝えておかなければ、せっかく作成した遺言書が、誰にも見つかることなく終わってしまうかもしれません。また、手続きが完了した後に、遺言書が出てきた場合は、手続きをやり直すことになったりします。一番の問題は、相続人の間でしっかり話し合ってまとまった遺産分割協議の内容と、遺言書の中身が全く違ってしまった場合です。遺言が見つかるのが遅かったせいで、円満だった家族がもめて、感情的なしこりが残ることもありえます。なので遺言書の保管場所はきちんと選んで、誰かに伝えておくべきです。

自宅で遺言書が見つからない場合でも、公証人が作成した公正証書遺言は、公証人役場でも保管されています。遺言者が亡くなった後、相続人などが、公正役場で名前と生年月日と続柄等を知らせると、「公正証書遺言システム」を使って検索してもらうことができます。平成以降に作成をしていた場合、遺言作成者が130歳になるぐらいまで保管されているので、確認することができます。

絶対に遺言書を入れてはいけない場所は、銀行の貸金庫です。もし、ここに入れた場合この金庫をあけるには相続人全員の実印を金融機関所定の用紙に押印して印鑑証明を提出しなければならないからです。すぐに連絡がとれ、同意が得られればなにも問題はありませんが、どこにいるのかわからない相続人や、簡単に同意してくれない相続人がいた場合は、貸金庫を開けるのに大変な手間がかかります。なので、自分以外に貸金庫を開ける人がいない場合は、遺言書は貸金庫ではない場所に保管するべきです。