遺言がなければ、被相続人の財産は法定の相続人が法定相続分で相続しますが、遺言があれば、財産は相続人でない人にもあげることができます。そのためには、被相続人が自分の財産の承継者などを決め、遺言によって与えることを伝える必要があります。また、遺言によって相続人でない人に財産をあげることは、【相続】ではなく、【遺贈】といいます。遺贈を受ける人を【受遺者】と呼び、受遺者は、相続人でも相続人でなくてもかまいません。そのため、息子の嫁や友人など相続権のない人にも財産をあげることは可能です。※なお、相続人の遺留分を侵害すると減殺請求の対象となります。
また、遺贈には【特定遺贈】と【包括遺贈】の2つの方法があります。この2つについては下記の通りです。
①特定遺贈:「〇〇の家屋を与える」というように具体的な財産を示して行う遺贈をいいます。
※債務を負担する義務はありません。また、放棄の方法も意思表示をするだけでOKです。
②包括遺贈:「財産の3分の1を与える」というように割合を示して行う遺贈をいいます。この場合、受遺者はプラスの財産だけでなく、同じ割合で債務も承継します。そのため、包括受遺者は相続人と同じ扱いとなり、遺産分割協議にも参加します。
※包括遺贈を放棄することもできますが、その場合相続人と同様の方法で手続きが必要です(遺贈があると知った時から3か月以内)。
相続人でない人にも財産をあげることはできますが、そのためには遺言を残すというように準備が必要です。また、相続人でない人が財産をもらうのは、相続ではなく、遺贈であることを覚えておくといいでしょう。