先祖名義のままの不動産に登記義務化の法改正 ! 

2021年09月20日

数代前の相続は相続人が数十人いることも・・・!

祖父母や曾祖父母、その前のご先祖の名義のままの不動産があると、この不動産も遺産分割の対象となるので、この際どうにかして分割ないし処分をしなければなりません。おそらくは、家系図を辿っていくと相続人がかなり広範囲にわたっている可能性があり、かなり縁遠い親戚も不動産に関する遺産分割の当事者となってしまいます。このような場合、遺産分割をする当事者の戸籍を集めて居場所を追跡・特定するだけでも、とてつもない作業量になります。

戸籍を集めるだけであれば、事務作業を淡々と進めればいいだけですし、司法書士等に依頼すれば済むことでしょう。しかし問題はそこではなく、この全員と何らかの方法でコンタクトをとり、さらに全員が合意できるような遺産分割案をつくらなければないないという点です。先祖はすでに亡くなっており、その子、孫、さらにはひ孫世代の相続人である方々、もはや何の親戚づきあいもないような人々から遺産分割協議書に承諾をもらうというのは大変な作業になります。承諾・協議を求めること自体も大変ですが、そもそもその相続人の住所不明で郵便が戻ってきてしまう人、面倒がって連絡してくれない人、海外に在住している人という場合もあり得ます。その場合も対処の方法がないわけではありませんが、手間・費用がかかることに変わりはありません。

これまで相続登記は「当事者の任意」に任せられていたので、登記しないまま放置されている土地が増えて問題になっていました。2021年4月に「相続登記を義務化する」改正法案が可決され、2024年を目途に相続後3年以内に登記しないと最高10万の過料含め改正法が施行される見込みです。今後発生する相続はもちろんですが、すでに故人の名義のままになっている不動産がある方は、早めに名義変更をすることをお勧めします。もちろん先祖名義の不動産の扱いに困った方は、専門家へご相談いただければと思います。

参考資料:法務省