相続税の申告・納付は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内にしなければならず、未払いにしてしまうとペナルティが課せられます。税額が大きい場合、相続人が支払いに困る場合もあるため、事前に対策を立てておくことが大切です。
相続税を滞納すると延滞税や加算税が課せられる
相続税が未納になってしまう理由として意外とよくあるのが、“支払えない”というケースです。たとえば、相続財産のうち不動産が多くを占める場合は、税額は高くなってしまいますが、それを支払えるほどの現預金が手元にないということがあり得ます。この場合、相続した不動産を売却して納税資金にあてるという方法もありますが、納付期限までに売却が完了できない可能性があります。このほか、相続した現預金から納税するはずが、遺産分割協議が難航し、被相続人の預金口座が凍結されたまま申告期限を迎え、支払えないというケースも考えられます。
いずれにしても、相続税を納付期限までに納められなかった場合、延滞税を課せられることになります。
延滞税・・・納付期限の翌日から2カ月は年7%か延滞税特例基準割合+1%のどちらか低い方、2カ月以降は14.6%と延滞税特例基準割合+7.3%のどちらか低い方とかなり高い税率です(延滞税特例基準割合は毎年変動します)。
さらに、申告自体が期限までに間に合わなかった場合は無申告加算税(5〜20%)が、申告した相続税額が不足していた場合には過少申告加算税(5〜15%)が課せられる可能性があります。正当な理由がある場合などには、不適用となることもありますが、うっかり申告し忘れた場合や、正しく申告したつもりで金額が足りなかった場合でも、これらの加算税は課せられるので注意しましょう。なお、相続財産を隠ぺいするなど悪質なケースでは、無申告加算税や過少申告加算税の代わりに重加算税(35〜40%)が課せられる場合があります。
相続税を試算したうえで必要な対策をとる
相続財産が多いほど相続税は高くなり、滞納した場合のペナルティも大きくなります。滞納を避けるためには、事前に相続財産を洗い出して相続税を試算したうえで、以下のような対策を考えていきましょう。
●納税資金を確保する
納税資金を確保することも重要です。このときに役立つのが生命保険です。相続人を死亡保険の受取人に指定しておけば、保険金を相続税の納税に充てることができ、万が一預金の解約が間に合わないときにも安心です。
●相続税自体を少なくする
まずは、相続税自体の金額を少なくすることを考えてみましょう。たとえば、生前贈与を活用すれば、相続発生時に課税される財産を減らすことができます。また、現金をそのまま相続するよりも、不動産に換えて相続することで評価額を下げ、財産の価値を圧縮するという方法もあります。事前に対策をしても、何らかの事情で支払えない場合は、『延納』という選択肢もあります。延納とは、相続税を一括で納付することが困難な場合に、税務署に申請して分割払いにできる制度です。ただし、一定の条件を満たす必要があるため専門家とよく相談する必要があります。
相続財産の洗い出しや相続税の試算などは、財産の分配を考えるうえでも必要なことです。早めに準備しておくと安心です。
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