相続税対策に使われる『養子縁組』 その基礎知識と活用方法

2022年03月21日

養子縁組制度を利用して“子ども”の数を増やすと、法定相続人が増えることで相続税の基礎控除額が拡大されます。そのため、養子縁組は相続税対策として用いられることがあります。今回は、養子縁組の基本的な知識や、注意すべきポイントについてご説明します。

なにが違うの?特別養子縁組と普通養子縁組

●特別養子縁組
保護者がいない子ども、虐待などによって実親のもとで育つことが難しい子どもを保護するために設けられた養子縁組制度です。普通養子縁組よりも成立要件が厳しく、原則として養親は25歳以上で配偶者がいること、養子は15歳未満であることが要件です。家庭裁判所の決定によって養子縁組が成立し、その場合は実の父母と養子との親族関係は終了します
●普通養子縁組
一般的に、相続対策で用いられる養子縁組制度です。養子が未成年であれば、自己または配偶者の直系卑属でない限り家庭裁判所の許可が必要ですが、養子が成年ならば戸籍法に定める届出によって成立します。普通養子縁組が成立しても、実の父母と養子との間には親族関係が残ります。つまり、養親のほかに、実親の財産も相続できることになります。
よくあるケースとしては、実子がいない人が自分の甥や姪を養子にしたり、実子のほかに孫を養子にしたりすることがあります。親族関係で養子縁組をする場合は、自分より前の世代(尊属)を養子にすることはできず、後の世代(卑属)のみ、養子にできます。また、年長者を養子とすることもできません。

養子縁組は相続税対策になる?実際に活用した場合

養子縁組をすると法定相続人の数が増えることになります。                 相続税には【3,000万円+600万円×法定相続人の数】という基礎控除額が設定されているため、養子縁組制度を利用すれば、控除枠が広がり、節税することができます。
ただし、相続税の計算上は、無制限に養子を法定相続人にできるわけではありません。    被相続人に実子がいる場合には、養子の数は1名まで、実子がいない場合には2名までと制限されています。また、孫や、子の配偶者を養子にすると原則、その養子の相続税が20%加算されるので、節税対策としてはメリットばかりではありません。孫に財産を渡すのであれば、教育資金の一括贈与などの非課税措置を利用するという方法もあります。

節税効果を期待できる養子縁組ですが、ほかに相続人がいる場合は、その人の相続分が減ってしまうことにも注意しましょう。相続分が減った人から不満が出やすく、争いに発展してしまうケースもあります。ほかの相続人に向けた説明を縁組時に行い、事前に了解を得ておくことも大切です。

養子縁組を含めた相続対策を検討する場合は専門家に相談し、よく話し合ったうえで方針を決めていくことをオススメします。

 

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