遺言書の指定からはずれても、相続人は最低もらえる財産がある

2017年12月20日

遺言書に自分の名前が入っていなかったら・・・、あるいは、「全財産を慈善団体に寄付する」など、家族には一切財産を残さない内容の遺言書が見つかったら、残された家族の生活はどうなってしまうのでしょうか?

民法では、一定の相続人には、最低限相続できる財産を確保しています。これを「遺留分」といい、配偶者と子と親には遺留分が認められています。生計を別にしている場合が多いため、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

遺留分の割合は、相続人全員で被相続人の財産全体の2分の1となります。ただし、相続人が親のみの場合は、遺留分が全財産の3分の1になります。この遺留分の財産を、法定相続分で配分することになります。

例えば、父が亡くなり、相続人が母と子2人(長男、長女)のケースで考えてみます。遺言で、「すべての財産は長男〇〇に相続させる」との内容があったとしても、母と長女には遺留分があります。母は、財産全体の4分の1、長女には、財産全体の8分の1を遺留分として請求する権利があります。

もし、兄弟姉妹以外の相続人で、遺言書の指定からはずれていたとしても、遺留分を主張することで、最低限の財産はもらえることになります。

実際、自分がもらう財産が法定相続分に満たない場合、どのように遺留分の減殺請求を行えばよいのでしょうか?方法としては、相手に意思表示をすればよく、必ずしも家庭裁判所へ訴える必要はありません。相手が応じない場合、家庭裁判所の調停などにより、話し合うことになります。減殺請求は、相続開始から1年以内に行う必要があります。