相続が発生し遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分け方について協議をすることになります。その協議の事を遺産分割協議と言い、遺産分割協議によって話し合いがまとまりそのまとまった内容を書面にしたもの遺産分割協議書と言います。預金や不動産・自動車・相続税の申告等の手続きの場合にこの遺産分割協議書という書類が必要になるのですが、遺産分割協議で分け方を決める財産にはどのようなものがあるのでしょうか。
遺産分割協議で分け方を決める財産として代表的なものが不動産や預貯金等のプラスの財産です。不動産や預貯金・自動車・有価証券等については相続人間で話し合いの上、だれがどの財産を相続するのかを決める必要があります。もちろん、複数の相続人で共有することも可能です。では、プラスの財産としては不動産や預貯金等以外にどのようなものがあるのかというと、意外と忘れることがあるのが債権です。債権とは、例えば人にお金を貸した場合のお金を請求する権利などがこれに当たります。債権も実際に回収できるかどうかは別としてプラスの財産となりますので、債権を誰が相続するのかを決めておく必要があります。
債権との比較として債務があります。債務とはお金を借りているような場合の貸してくれた人に対して返済をする義務の事を言います。この債務についても遺産分割協議で誰が債務を負担するのか決めることができるのでしょうか。実は、債務に関しては、債権者(お金を貸してくれた人)の同意がなければ、遺産分割協議で債務を負担する人を決めたとしても、債権者にその遺産分割協議の内容を主張することはできません。
これは、債権者としてはお金を請求する先が複数から一人になることによって回収できなくなるリスクが高まるため、債権者の同意というのが必要とされているのです。実際には相続人間で債務を負担する人を決めることが多いのですが、そのような遺産分割協議が成立していたとしても、債権者の同意がなければ、債権者から相続人が請求された場合には、支払う義務があります。あとは、請求された相続人が債権者に対して返済をし、遺産分割協議で債務を負担することが決まった人に対して請求するということで内々で解決をする必要があります。