一旦決まった遺産分割をやり直すことはできるのでしょうか? 原則やり直しをすることはできません。
やり直しができるのは、その分割協議が無効であった場合などです。下にいくつかの関連事例を紹介します。
① 一部の相続人を除外して協議した場合
遺産分割協議は、共同相続人全員の合意が必要ですので、一部の相続人を除外した遺産分割協議は無効となります。そのため、除外された相続人は、分割協議のやり直しを請求することができます。
② 遺産分割後に、他に相続人がいることが判明した場合
たとえば、遺産分割後に相続人となる胎児が生まれたときは、胎児はすでに生まれたものとして扱いますので、胎児の分を無視した遺産分割は無効となります。胎児がいる場合は、生まれるのを待って、遺産分割協議をしたほうがいいでしょう。
③ 遺産分割後に新たに財産がみつかった場合
そもそも遺産分割は、一度にすべての財産を分ける必要はないので、新たな財産について分割をすればよいことになります。
④ 遺産分割協議を守らない相続人がいる場合
たとえば、代償金などの支払いが必要なケースで、支払いをしない相続人がいたとしても、これを理由として分割協議をやり直すことはできません。支払いをしない相続人には調停や訴訟により請求することとなります。
なお、例外として相続人全員の合意があれば、遺産分割のやり直しをすることも可能です。しかし、遺産分割のやり直しは、税務上、各相続人間における贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があるので、ご注意ください。