現代では、夫婦やパートナーとしての関係の在り方はそれぞれで、多様化してきています。
しかしながら、そのような様々な在り方をサポートする法律や制度が追い付いていないのが現状。
そんな中、事実婚などの関係にある夫婦において子供がいる場合「相続」ってどうなるのでしょうか。
戸籍に乗っていないから相続はできない?
血がつながっているんだから、相続の権利はあるはず??
ひとつの手続きで子供に「相続権」を与えることが出来る
本来であれば婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子供(=非嫡出子)には「相続権はない」のですが、『認知』をすることで子供に「相続権」を与えることが出来ます。
また、認知された非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分と同じになります。
かつては嫡出子の相続分の1/2でしたが、2013年に民法が改正され、同じ権利を得ることができるようになりました。
※相続権が与えられるのは子供であり、妻に対して相続権はないので注意が必要です。
事実婚など法律上の婚姻関係にない配偶者に財産を残したい場合は「遺言書」を書くことが重要になります。
『認知』は遺言書でもできる
『認知』は、認知届を役場に提出することで手続きをすることができますが、遺言書でもすることができます。
【認知届による認知】
・届出人:父(母の同意は不要です)※胎児認知の場合は、母の同意が必要
・届出先:父もしくは子の本籍地、又は父の所在地のいずれかの役場
※子供が成人している場合には、子の承諾書も必要になります。
遺言書は死亡した時点で効力を生じるので、認知の記載があった場合はその時点で法律上の親子関係が認められることになります。
【遺言書での認知】
遺言書で認知する場合は以下の事項を記載するようにしましょう。
・子供を認知する旨
・子供の母親の氏名(生年月日)
・子供の住所、氏名、生年月日、本籍地、戸籍筆頭者
また、父の死亡後に認知の手続きをすることができる「死後認知」もあります。
家庭裁判所に死後認知の訴訟を提起するという大変な手続きにはなりますが、死亡後3年以内であればすることができます。
ただ、すでに遺産分割(相続手続き)が終わっている場合には、また初めからやり直しということになります。
遺言での認知についても、事前になにも知らされていないということになるとトラブルの原因になる可能性もあります。
子供に財産を遺したいと考える際は、早めのお手続き、早めの対策が大切です。
人々を守るためにある法律や制度ですが、一方を守ろうとするともう片方を守れなくなったり、なかなかひとりひとりに寄り添うサポートを作ることは難しいのかもしれません。
まだまだ課題も多いですが、それぞれに合った形を選択できる家族が増えるといいなと思います。