相続税申告依頼をいただき、担当税理士とお客さんが打ち合わせしているときの話です。通常、贈与税額控除という相続開始前 3年以内の贈与があると、相続財産となってしまうため、過去 3年の通帳の動きを税理士はチェックします。(税務署が調査に来たときは、必ず見るか,もしくは事前に調べてくるからです。
通帳をチェックしていると、亡くなられたご主人の通帳から数千万の大きな出金がされており、奥さんに確認すると新しく買ったマンションを購入したとのことでした。しかし、マンションの名義は奥さん名義になっているので、ご主人の相続財産には入っていませんでした。
このケースは過去 3年以内の贈与に該当し、贈与税の申告もさかのぼって行う必要があります。税理士からは、婚姻期間 20年以上の夫婦間で居住用不動産もしくは居住用不動産を取得するための金銭贈与 2,000万の非課税制度を使っていれば、 2,000万までは非課税になったし、3年以内の相続加算の対象外でもあったのにという話をしましたが後の祭りです。
お金を出した方と、不動産登記の所有者名義は一致させないと贈与税の課税関係が発生します。共有名義の場合もお金を出した割合で、持分を登記しないと同様の贈与課税が発生します。
今回の事例では、贈与申告に加え、3年以内の相続財産の加算(贈与税額控除)にも該当し、基本的な知識がなかったがために、余分な税金を支払うことになった事例でした。