相続税は、原則として相続財産の全てを課税の対象としています。ですが、社会政策的見地あるいは国民感情への配慮などから、相続税のかからない財産もあるのです。相続税がかからないとされる主な財産は下記の通りです。
【相続税のかからない財産(非課税財産)】
1.皇室経済法の規定により、皇位とともに皇嗣が受け継ぐもの
2.墓地や墓石、仏壇、祭具など日常礼拝の対象としているもの(投資対象を除く)
3.宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う人が取得した財産で、その公益事業に使われることが確実なもの
4.心身障害者共済制度にもとづく給付金の受給権
5.相続人が取得した生命保険金などのうち【500万円×法定相続人の数】までの金額
6.相続人が取得した死亡退職金などのうち【500万円×法定相続人の数】までの金額
7.個人で経営している幼稚園の事業で使われていた財産で一定の要件を満たすもの
8.相続税の申告期限までに国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付したもの、あるいは特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの
※上記5、6は【みなし相続財産】として相続税が課税されますが、受取人が相続人の場合に限り、一定額が非課税となっています。
生前贈与の財産で相続税がかかるものもある
被相続人から贈与された財産のうち、下記のものは相続財産に加えられます。
1.相続時精算課税制度に係る贈与財産
2.相続開始前3年以内の贈与財産
※これらの贈与財産は、相続時ではなく贈与時の評価額をもって加算されます。
課税の対象となる財産のうち、生前贈与の財産は見落としがちです。生前贈与を行った方はいつ、何を、どれだけ贈与を行ったのか一度確認してみてください。そして贈与を行った記録等を残しておくと良いでしょう。