相続税が一定額までかからない 配偶者の税額軽減制度とは

2022年10月10日

配偶者が他界すると、残された方はあらゆる面で不安を感じることでしょう。被相続人が生前、収入の柱を担っていた場合、配偶者の生活面に影響を与えることが想定されます。そのような時に支えとなるのが、相続税の配偶者税額軽減制度です。今回は、その概要と利用方法を説明します。

配偶者税額軽減制度とは

相続税の配偶者税額軽減制度とは、被相続人(故人)の配偶者が遺産分割や遺贈によって実際に得た財産(債務を引いた金額)につき、下記の金額のどちらか多い金額まで、配偶者の相続税がかからない制度です。
❶ 1億6,000万円
❷ 配偶者の法定相続分相当額

❶❷のうち金額の高い方を上限として、相続税がかからなくなります。たとえば、配偶者の法定相続割合が1/2で、3億円の財産を相続する場合、1億5,000万円となるため、上記❷ではなく、❶の1億6,000万円まで相続税がかかりません。仮に10億円の財産のうち1/2の5億円を配偶者が相続する場合、❷の5億円まで相続税がかからないようになります。
ただし、相続税の申告期限までに分割が決まっていない財産には適用できません。ただし、申告期限がきているのに遺産が分割できていないケースでも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税の申告書とともに提出することで税の軽減を受けることができます。申告期限後にも配偶者の税額軽減が受けられるよう、申請や更正の制度が整備されていますので詳しい税理士に相談するようにしてください。

相続税の配偶者税額軽減制度を利用するには?

相続税の配偶者税額軽減制度を利用するには税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に、戸籍謄本、遺言書の写し、遺産分割協議書の写しなど、配偶者が取得した財産が分かる書類を添えて、税務署へ提出することが必要です。
遺産分割協議書の写しには、相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)も添付する必要があります。
相続税申告期限までに分割協議がまとまらず、法定相続割合等で申告書を提出した後に配偶者の税額軽減を受ける場合は、相続税申告後に分割協議を行い分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求手続きが必要となります。こちらは原則として申告期限後3年以内となります。
上記のように申告期限内に分割協議がまとまらない場合でも、適用が受けられる手続き等があります。配偶者の税額軽減の適用を考えるときは、専門家に相談すると安心です。

 

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