相続税が増税になるということで、関係先が不動産のアパート経営や、生命保険を使った相続対策提案をするケースが増えているようで、当協会で相続手続きをされたお客さんからも、最近相談を受ける機会が増えてきました。
今回は、生命保険契約の相続対策のよくある誤解の例について説明します。80歳のおばあさんが相続対策になるからと金融機関の窓口で、一時払い終身保険を提案され加入しました。皆さんもご存じと思いますが、死亡保険金は法定相続人 1名あたり非課税枠 500万あります。おばあさんには、3名の子供がいたので合計 1,500万の終身保険に入りました。営業担当者の提案で 500万の契約に 3本入りました。契約者:祖母 被保険者:祖母 死亡保険受取人:長男 同じ契約形態で、死亡受取人を長女、次女に変え、3契約加入したということです。
もちろん、この契約形態でも非課税となりますが、死亡受取人:長男で 1,500万の終身保険に 1本入っても 1,500万まで非課税となるわけです。しかしおばあさんは、長男が 1,500万受け取った場合、500万までしか非課税が認められないと誤解されていました。
このおばあさんは、長女次女には嫁入りの際に持参金を持たせたので、相続の際は長男にすべての財産を相続させようと考えていた方でした。しかし、窓口で営業担当者に 3本に契約を分けると相続税が非課税になると進められ加入したとの事です。
おばあさんが理解不足だったのか、金融機関の方が事情を知らず進めたのかわかりません。(まさか、行員が誤解をしていたいうことはないとは思うのですが)
結局、お話を聞き、長女・次女の死亡受取人を長男に変更手続きしてもらい事なきを得た相談例でした。(契約者の意思で、死亡保険受取人は変更できます)
今回のポイントは、「生前に生命保険を利用していれば相続税負担を軽減できた」という点です。もし、父が現預金を利用して 900万円の終身保険に加入していた場合、相続税負担が 0円になっていました。
財産をどのように遺すかのプランを考えていくなかで、生命保険について知識を深め活用することが生命保険を活用した相続対策の第一歩となります。