生前贈与しても相続時に税金がかかる?【相続時精算課税】編

2023年06月19日

前回、生前贈与について「暦年課税」という課税方法についてご説明しました。

贈与税について少し、理解していただけたでしょうか?

今回は、もうひとつの課税方法「相続時精算課税」についてご紹介していきます。

暦年課税と比較しながら、もし贈与をする・されるならどちらの制度が自分に合っているのか考えてみましょう。

 

相続時精算課税

贈与の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。

今回は、相続時精算課税についてご説明していきます。

※贈与税について申告・納付するのは、財産をもらった人(=受贈者)です。

 

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贈与者】原則60歳以上の父母または祖父母

【受贈者】18歳以上の子または孫

※令和4年3月31日以前の贈与については「20歳以上」。民法改正により、令和4年4月1日から成年年齢が「18歳」となりました!

贈与者につき、合計額2500万円までは非課税(贈与者が亡くなるまでの合計額)

※財産の種類や金額、贈与回数に制限なし

※非課税金額内でも、その年ごとに申告する必要があるので注意!少額でも申告必須です!(★税制改正

★税制改正:令和6年1月以降の贈与から年間110万円の非課税枠が追加され(2500万+110万となります!)、110万円以下であれば申告は不要となります。

2500万円を超えた部分に関しては、一律20%の税率(一年間ごとに計算)

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「相続時精算課税制度」を選択する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の期間で申告する必要があります。

贈与者ひとりにつき「相続時精算課税」を選択すると、「暦年課税」に変更することはできません

※例えば、父からの贈与は「相続時精算課税」を選択し、母からの贈与は「暦年課税」を選択する、ということは可能です。

※この制度は”贈与者ごと”なので、父と母からの贈与をどちらも「相続時精算課税」として申告すると、2500万円ずつ、合計5000万円まで非課税となります。

【相続時に税金がかかってくるか?】

その名の通り、相続発生時(贈与者が亡くなったとき)に相続財産に足し戻して計算しなければなりません。

★税制改正:非課税枠の110万円は加算不要です!!

〇すでに贈与税を払っている場合・・・相続税額から支払済みの贈与税額を差引いた税額が支払うべき相続税の金額となります。

※相続税額の金額が贈与税額より低い場合、差額分は還付してもらうことが出来ます!「暦年課税」では還付がされないので注意!

〇相続財産と贈与財産の合計金額で相続税は発生しなかった場合・・・支払う税金はありません。

〇贈与者から何も相続しなかった場合(相続人ではない場合や、遺言書による遺贈がない場合)・・・「相続時精算課税」の場合、「暦年課税」と違って相続時に税金を精算するという制度なので、相続財産として加算しなければなりません。

※相続税にはもともと「2割加算」というものがあります!亡くなった方の一親等の血族(親や子)ではない兄弟(甥姪も同様)や孫が相続人の場合、相続税額にその2割が加算されるというものです。(亡くなった方の子がすでに死亡しており、代襲相続人として孫が相続人の場合は2割加算はありません。)

つまり、もし贈与者の相続人ではない孫が「相続時精算課税」を利用して贈与を受けた場合は、相続財産として加算しなければならない上に相続税を「2割加算」して納税しなければならないということになります。

 

前回に引き続き、これまで贈与について2つの課税方法についてご説明してきました。

贈与を考えようと思っても、細かなルールがあるとなかなか理解するのも一苦労で…大変なことですよね。

やり方によっては税金が増えてしまう可能性もあると考えると慎重にしなければなりません。

もし分からないことがございましたら、無料でご相談も受け付けておりますので当協会にお気軽にご連絡ください!

 

他にも、税金の対策にはいろいろな種類がありますのでまた次回、ひとつずつご紹介していきます!