生前対策と聞くと「財産が少ない我が家には関係ない」、「遺言とか贈与とかなんか大変そう」と言って対策をしていない方が大勢いらっしゃいます。しかし生前に行っておくべき相続の対策は争いや節税だけではありません。今回は手軽に始められてどなたでも有効な生前対策をお伝えします。
一般の生前対策のイメージ
- 相続人の争いを事前に防ぐため(遺言)
- 相続税の節税対策(贈与、生命保険や不動産活用等)
- 認知症になった場合に備える(後見制度、家族信託等)
これらの対策を行おうとすると大半は専門家に相談し、相談料・書類の作成料・生命保険料等の費用を支払って行うことになります。「お金も手間も掛かるし、そんなにもめることもないだろう。相続税も掛からないから対策は必要ない」という方が多いのではないでしょうか?
相続手続きを簡単にする生前対策
預金の口座を一つにまとめる。
長い人生を過ごしていると意外とたくさんの銀行に口座をお持ちの方が多いです。例えば、以前勤めていた会社の給与振込口座・銀行との付き合いで作った口座・昔住んでた家の近くの銀行口座等々探してみるとあまり使っていない口座が出てくるのではないでしょうか?複数ある銀行口座をまとめておくだけで万が一のことが起こった際の相続手続がスムーズに進められます。
1、相続が発生した際にはそれぞれ解約手続きをする必要がある。
原則としてはそういった口座にも残高があれば解約手続きを行う必要があります。「解約手数料で赤字になるし残金1,000円もないからそのままにしよう」と口座を解約せずに放置している場合も多いですがそれらは休眠口座と呼ばれいずれは国庫に帰属してしまう場合もあります。
2、預金の解約には手間が掛かる
預金の解約は名義人が生きているときの解約と違い手間が掛かります。戸籍を取得することから始まり協議書の作成、解約書類の作成等いずれにしても1日2日では終わりません。しかし、ご本人が健在の場合は銀行に行けば簡単に解約することができます。
3、相続人が口座の存在を知らないままの可能性も
保有している銀行口座を相続人にすべて教えている方は多くありません。残された相続人が遺品を整理している際に見つからなければ預貯金の存在を知られることすらないかもしれません。
4、相続税の申告では銀行の残高証明書を添付する必要
以前、相続税申告先に税務調査が入り、1500円程度の通帳残が漏れており申告漏れとなったケースがあります。また相続税申告対象である場合、銀行の残高証明書を取得し添付する手間もかかります。
相続手続きは思っているよりも大変
預金に限らず、戸籍の取得や証券の解約等生前であれば簡単に出来ることも相続手続きになると手間暇が掛かってきます。生前元気なうちに相続手続の一部を済ませておくことによって相続人の方々の負担を軽減させることができます。ぜひ、銀行口座の断捨離を行ってみてください。