教育資金の 1,500万贈与は有効か? 

2013年05月13日

今年の税制改正で、教育資金の 1,500万の一括贈与が決まりました。当協会を通して、相続手続きをした方などからも相談をいただく事があります。下記に重要なメリット・デメリットをまとめてみました。

メリット
① もともと祖父母からお孫さんへの贈与は、相続前 3年以内の贈与加算の対象とはなっていないので、お孫さんへの贈与は、祖父母が亡くなる直前でも有効な対策でした。今回の 1,500万の教育資金贈与も、決められた平成 25年 4月 1日から平成 27年 12月 31日までに行われば、万一贈与後 3年以内に祖父母が亡くなられても相続財産に加算する必要はありません。

従来との違いは、教育資金の 1,500万を孫に贈与後すぐに、贈与した祖父母に万一のことがあったとしても、即座に 1,500万が相続財産から減額されるというメリットです。贈与資金が教育費にすぐに使われていなくてもよいということです。

ですので、1,500万の教育資金贈与をされた祖父母が、贈与後すぐに亡くなってしまった場合、結果として最も有効な相続税対策となります。

② 毎年の 110万の贈与も併用できるので、相続財産の多い資産家にとってはこの制度を使うことで相続財産を早めに減少させることができます。

デメリット
① 改正前も、祖父母から孫への教育資金にかかる贈与は、授業料を払う都度贈与すれば、贈与税の対象となりませんでした。ですので、教育資金を一律にあげずに、孫それぞれにかかった教育費を贈与していく方針の場合、今回の制度は使いにくいのではと思います。相談者の中にも、このような方がみえて、この方は今回の 1,500万の贈与は使わないということでした。

② 贈与された孫や子供が、教育資金贈与された資金を、30歳までに規定の教育資金等で使いきれない場合、孫や子供に使いきれなかった金額の贈与税がかかってきます。使いきれない可能性がある場合、孫に贈与税の納付についてよく説明しておく必要があるかもしれません。