相続税法改正で今年から基礎控除額が下がり、マスコミや新聞雑誌などでも相続に関する情報が増えています。そのせいか、老後のライフプランをあまりよく考えずに子供や孫に、教育資金や住宅資金の非課税贈与を進めてしまう場合もあるので、注意が必要です。
確かに、亡くなった時に基礎控除を超える財産があると相続税がかかってきます。ただ、基礎控除を超えてもその超過額が 3,000万程度までは、相続人数や分割方法によっても違いますが、超えた分に 10% 〜 15%の税率がかかるだけで、納税額も相続人全員で数百万程度までです。
先日、約 8,000万程度の財産(金融資産中心)をお持ちの 65歳前後のおばあさんが、かわいい孫 3名に、1,500万の教育資金の非課税贈与を検討しているとの相談を受けました。
確かに孫 3名への贈与で 4,500万の財産が減るので、相続税も将来かからなくなるわけですが、おばあさんの老後の生活をつい心配してしまいました。 女性の方は現在 2人に 1人は 90歳まで生きるとされています。仮に 65歳から毎月 15万づつ取り崩したとしても 90歳まで 4,500万かかります。
贈与しなければ、ひょっとしたら、もっとゆとりのある生活ができるかもしれません。以前、孫に 1,500万の教育資金贈与をしてあげたおばあさんが、嫁からは一言もお礼の言葉もないというのを聞いたことがありますが、贈与金額を小さくしたり、小出しで、子供や孫たちに小遣いをあげるようにしたら、お礼もその都度言われ、よりほのぼのとした家族関係が気づけていけるかもしれません。
同居の長男ばかりにたくさんの贈与をすると民法では特別受益とされ、後々に相続争いにつながる場合もあります。多額の贈与などする場合、相続税対策だけに目を奪われることなく老後プランや円満相続の視点も入れ、検討されることをお勧めします。