相続人の中に、生前に亡くなった人(被相続人)から贈与を受けた方がいる場合、贈与を受けた受けないで相続人間で不公平感が出てきます。そこで、民法では生前贈与の一部や遺贈を『特別受益』とし、法定相続分から特別受益を差し引いた額を、その相続人の相続分としています。
住宅資金や開業資金、海外留学資金など、特別の利益を受けた相続人を「特別受益者」と呼びます。このような生前贈与は、「遺産の前渡し」とみることができ、贈与額を相続財産に加える必要があります。加えた額を相続人全員で分配するため、すでに受け取った贈与分は、もらえる相続分から減らされることになります。
ここで、問題となってくるのがどこまでが特別受益か?といった点です。
◆特別受益となるものの例
・婚姻時の持参金や支度金 少額で生活費の援助レベルは対象外 結納金や結婚式費用などで、常識的な額は特別受益
にならず。
・他の相続人と比べて特に多額な学費(海外留学費用、私立大学医学部費用など)
・住宅購入資金など
・遺贈
通常の生活費や学費などは特別受益には含まれません。また、生前贈与だけでなく、遺贈も特別受益に含まれます。
特別受益は、遺産分割協議の中の相続分や、遺留分の計算で主張されたりします。特別受益かどうか、白黒はっきりしない場合もあり、そうなると裁判に発展してしまうケースもあります。
◆特別受益の計算
亡くなった時の被相続人の財産額に、特別受益額をプラスした額を相続財産総額と考え、相続分を計算します。仮に兄弟姉妹3人の相続人で、被相続人の財産1億、長男への生前贈与2000万(特別受益)あったとしますと、相続財産総額を1億2000万と考えて、相続分を計算
長男1億2000万÷3人ー特別受益2000万=2000万 あとの兄弟姉妹はそれぞれ 12000万÷3名=4000万 となります。