財産目録作成
財産の確認
亡くなられた方の財産とは、下記のようなもの(一部)を指します。
預貯金
預貯金については、故人が管理していた場合もあると思いますが、通帳が無いと銀行からも連絡が無いため、どの銀行に口座を持っていたかを注意して探す必要があります。
不動産
不動産に関しては、法務局で確認することができますが、一斉に調べることはできないため、どこに不動産を持っていたかは把握しておく必要があります。
特に、遠方に別荘地や山林などを所有している場合は、土地の評価額が低く、固定資産税がかからないため、役所からも連絡が無く、注意が必要です。
自宅のように、固定資産税の納付書を送ってくる場合と違い、相続税の申告漏れになる可能性があります。
ゴルフ会員権
故人がゴルフをしていた場合は、確認してみましょう。
貸付金
よく忘れられるのが、個人間での貸付金です。
金銭消費貸借契約書を作っているかが問題ですが、作っていない場合は立証が難しくなります。作っている場合でも、契約書が見つからないなどのトラブルがあります。
家庭用財産
絵画や仏像などの骨董品で、現金化できるものは相続財産として申告する必要があります。
生命保険
生命保険は受取人固有の財産で、相続財産に計上しないことはよく知られていますが、生命保険でも、契約内容によっては相続財産に含まれるケースがあります。
生命保険で重要なのは、「契約者」「被保険者」「受取人」が誰の名義になっているかという点で、申告から漏れやすいのは、被保険者が被相続人以外のケースです。
契約者である父親が亡くなっても、被保険者が母や子の場合、保険契約は終わりません。契約者である父親が保険料を負担していた場合、貯蓄保険だと父親の財産とみなされるケースがあります。
その場合、父親が亡くなった時点で保険を解約した場合、受取額がいくらになるのか、残高証明を取る必要があります。税務での申告漏れになりやすいケースです。
借入金
銀行の場合、残高証明を取れば借入金も判明しますが、個人間での借入れについては証拠となる資料がないと分かりません。
最も大変なのが保証債務で、故人が連帯保証人となっていた場合、亡くなってから 2 ~ 3年後に債権者から請求されるケースがあります。この場合、相続人には支払いの義務があります。
未払い金
病院への治療費など、亡くなった時点でまだ支払っていないお金。葬式費用もこれに含まれますが、初七日以降は税務上、相続財産に含まれません。
生前贈与
亡くなる 3年以内に相続人に贈与した財産は、贈与税額控除の規定により、相続財産に含まれます。死期が近くなると、急に配偶者や子に贈与を始めるケースが多くみられます。
財産の評価
被相続人の財産をすべて列記した後、その評価額を確定します。評価方法について一部、ご紹介いたします。
不動産
不動産には様々な評価方法があり、役所や税務署、国などで評価額が異なります。通常、税務申告がある場合は、税務上の財産評価基本通達に基づいた評価を用います。
主に路線価を用いて評価を行いますが、路線価が無い田舎の方であれば固定資産税評価額に基づいて評価を行います。
預貯金
定期預金の場合、経過利子も含めて財産を評価します。
例えば、一年の定期に加入している方が半年で亡くなられた場合、半年分の利子を銀行で計算してもらい、残高証明書を発行してもらいます。
証券
亡くなった日の株価で評価しても間違いではありませんが、税法上の規定で、
- 死亡日現在の株価
- 死亡月の平均株価
- 死亡先月の平均株価
- 死亡先々月の平均株価
の 4種類のうち、一番安い株価を評価額として用いることができます。
投資信託
亡くなった当日の時価で評価します。
国債
定期預金同様、死亡日までの利子を含めて評価します。
車
中古車としての売却価格を査定します。
骨董品
鑑定士の評価に基づきます。
家財
家財は評価が難しいところですが、税務申告に「家財無し」と記載すると「家財が無い家は無い」と指摘されるため、通常は数十万、古ければ 5万円など計上します。
財産目録作成の手続き
被相続人の財産といっても、一般的な価格が不明瞭な場合、客観的な資料を集める必要があります。また、預貯金についても定期預金では経過利子を含めるなど注意点があり、手続も複雑です。
手続方法は、銀行ごとに異なり、支店によっても違う場合があります。提出書類に不備があると、何度も役所と銀行を往復することになります。
財産目録を作成しない場合、預貯金の解約の際に、金融機関毎に財産目録表を作成しなければならず、より手続きが煩雑化します。また、財産の評価が間違っていると、遺産分割をやり直さなければならない可能性もあり、手続がより長期化してしまいます。