開封した遺言書は無効?

2018年02月07日

亡くなった家族の荷物はいつ整理すべきでしょうか?

 

お住まいが自宅なのか、賃貸なのかによっても違ってくるとは思います。

自宅であれば、みんなが集まる法要の時、あるいは気持ちが落ち着いたら始めるなど、様々な考え方があります。

 

賃貸の場合は、いつまでに部屋を引き渡す必要があるかによっても異なりますが、しばらくこのままでというわけにはいかない場合が多いと思います。

 

荷物を整理していて、遺言書を見つけた場合、その後どのような手続きを行えばよいのでしょうか?

相続の相談に来られる方の中にも、遺言書を持って来られる方がいらっしゃいます。中には、公証役場で作成した正式な遺言書から、どちらかというと遺言書というより家族へのお手紙といった内容のものもあります。

 

〇遺言書の種類について

【公正証書遺言】

公証役場で作成された遺言書

【自筆証書遺言】

本人がすべて直筆で作成した遺言書

自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認手続きが必要です。

パソコンで文書を作成し、最後に署名・押印しただけのものや、連名になっているもの、日付が特定できないもの(吉日など)は無効です。

 

余談ですが、では、日付が「平昌オリンピックの開会式当日」というのは有効でしょうか?

→答えは有効です。客観的に日付が特定できれば有効と考えられています。いよいよ始まりますね♪

 

では、次に遺言書の開封についてです。

開封済みの遺言書は無効なのでしょうか?

 

調べてみると・・・

「封印のある遺言書は、検認に先立ち家庭裁判所で開封することが決められています。検認前に勝手に開封してしまった場合も、遺言書が無効になるわけではありませんが、過料の処分を受ける場合があります。検認済証明のない遺言書の場合、不動産登記や銀行の名義変更手続きができません。」

とあります。

とはいえ、相談に来られる方で、遺言書をお持ちの方はほとんどが開封されています!

やはり、内容は気になりますよね? けっして、開封を進めているわけではありませんが、開封してあったとしても、その後の不動産名義変更や銀行の解約などで十分に使用できる可能性があります。

 

ただし、裁判所の検認は必須です。これがないと、遺言書を使って、銀行の手続きや不動産の名義変更を行うことができません。

この裁判所の検認についてですが、これは遺言書の「内容が有効か?」を調べるためのものではありません。

あくまで、ご本人の直筆によるもので、偽造などがないかを調べるためのものです。

そのため、検認済みであっても、遺言書の内容によっては登記などができないケースもあります。

(その場合は、遺産分割協議書を作成するなど、別の方法を考える必要があります)

 

遺産分割は遺言書の有無によって、大きく変わってきます。

遺産分割協議がすべて終わってから遺言書がでてくると、一からやり直しになってしまいます。

遺言書が保管されていそうな場所は早めによく調べましょう。