相続後の金融資産運用 ~ NISAの注意点 ①

2014年07月09日

相続した現預金について、証券会社・銀行などから株式や投資信託などの提案を受けたり、NISA口座開設を進められることも多いのではないかと思います。おそらく、メリットはよく聞かされているかと思いますので、今回はデメリットを説明します。

さて、NISA口座を利用すると、儲け分(譲渡益)に対して非課税、配当に対しても非課税というメリットはよく知られています。しかし、NISA口座にもデメリットがあります。それは「NISA口座で買った商品では損益の通算ができない」ことです。

株式や投資信託を売買すると損益が発生します。通常の場合、儲けには税金がかかり、損した分には税金がかかりません。損益の通算とは儲け分と損した分を合算することをいいます。具体的には 1/1 ~ 12/31までの間の最終的な損益を計算します。損益の通算をすることによって取られすぎた税金が還付されるます。

例えば、本年 A株で 100万円儲けた場合は所得税と住民税合わせて、20万円税金がかかります(復興特別所得税を除く)。昨年までは 10%でしたが、本年より株の売却益には 20%の税金がかかるようになりました。そして、今年中に B株で 100万円損したら、損益は通算されるので 20万円の税金はかからないことになります。

このように、通常は同じ年の株式や投資信託の損益は通算されるので、最初に引かれた税金は還付されるのですが、NISA口座で購入した商品で発生した損は、通算できないことになっているので、20%引かれた税金は戻りません。

つまり、NISA口座の株や投資信託が上がった場合にはメリットがありますが、下がった場合にはデメリットになる可能性もあることを、頭の片隅に置いておいてください。