相続と生命保険 ② ~ 争い防止のための間違った生命保険の契約形態

2014年11月25日

実家と預金を、子供3名で相続する場合の争い防止対策

実家で同居している長男が相続、子供同士の仲があまりよくない、全体の財産に占める不動産評価の割合が高く、預金が少ないというケースで説明します。(もめるケースの典型ですが…)

親と同居している長男は、通常、実家の不動産を相続するので法定相続分 3分の 1以上の財産を相続することになります。しかし、遺産分割協議の際、外に出ている次男や長女が法定相続分の 3分の 1の分割を要求すると、争いになります。そのようにならないために、親は子供に生命保険を生前に準備しておいてあげるとよいと相続対策本によく書かれています。

しかし、契約形態の説明を見ると、たまに間違えて書かれている場合もあるので注意しましょう。争い防止のために、長男にすべての財産を相続させるという遺言を親が書き、財産をもらえない次男・長女を死亡保険受取人にし、遺留分相当の死亡保険金額とする生命保険をかけたらよいという内容です。

この例ですと次男と長女は保険金をもらったうえで、さらに保険金以外の全財産の 6分の 1の遺留分をそれぞれが請求できることになります。(家裁への減殺請求手続きをすることで)というのは、死亡保険金は受取人の固有の財産となるので、遺留分計算の対象外です。

正しくは、長男を死亡保険受取人にした生命保険(終身保険)に加入し、相続時に長男は全財産をもらう代わりに、次男と長女にその保険金を原資として遺留分相当の代償金(現預金)を支払うということです。

対策本が対策にならなければ、シャレにもならない話ですが、本の説明だからと言って、やみくもに信用せずに、疑問点があれば第3者の専門家に事前に相談してみることが必要です。