民事信託 ③ ~ 認知症対策での活用

2016年02月28日

先日、複数の農地について売買契約が成立しました。企業が買主となり、農地としてではなく工場誘致が目的です。そのうち 1筆を所有する地主の方が、かなりご高齢でした。

ところが、売買契約は無事済ませたものの、実際の引き渡し並びに代金決済時まで、このケースでは約 1年かかります(対象不動産が農地であるため、地目変更をするには、農地法にもとづく許可が必要です。この許可に時間を要するのです)。

1年経過する間に、売主の意思能力が衰える可能性があり、引き渡し・決済が困難になってしまうと、売買契約の履行が難しくなり、関係者に多大な迷惑がかかります。

そこで、対象不動産(農地)につき、信託契約を締結しておけば、受託者(例えば相談者の長男)において、契約履行に参加することができます。もちろん、委託者となる相談者の方がお元気なうちに、信託契約を締結しなければなりませんが、このようなケースでも信託の活用が期待されます。