相続後の金融資産運用 ~ NISAの注意点 ②

2014年07月31日

前回の注意点①では、株の譲渡損が出た場合の NISA口座のデメリットを説明しました。 今回は、NISAを利用して株を購入したが配当金に課税されてしまった例について解説します。

相続が終了したあとの資産運用に興味があると言っていた Aさんの話です。

Aさんは B証券担当の営業マンから「NISAを利用して株を買うと、値上がり益に対してや配当金に対しての税金が非課税になりますよ。」という話を聞きました。知り合いが「NISAを利用している。」という話もしていたため、以前から Aさんは NISAのことが気になっていたとのことでした。営業マンから「NISA口座を開設すると 2,000円プレゼントします。」というキャンペーンの案内も受けたため、Aさんはさっそく NISA口座を開設し、株を買いました。

後日、株の配当明細が手元に届きました。明細書を見たところ配当金に税金が課税されていました。話が違うと思い、Aさんはあわてて証券会社にどういうことか確認しました。聞いてみたところ、NISA口座内で上場株式等の配当金を非課税とするには、「株式数比例配分方式」をご利用いただく必要があるとのことでした。Aさんはそれを利用していなかったため、今回、株の配当金が非課税にならなかったのです。株式数比例配分方式とは証券会社の口座で配当金を受領する方法で、一般的には証券会社の MRFに配当金が入金となります。

現在、配当金の受け取り方は全部で 4つあります。配当金が銀行口座に振り込まれる方法(登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式)や配当金を郵便局に取りに行く方法(配当金領収証方式)そして、株式数比例配分方式です。

ただし、株式数比例配分方式にした場合、下記のような問題も発生するので、よく考えて手続きを進めてください。

株式数比例配分方式を登録するうえでの注意点

① NISAでの配当金非課税のため、1社で株式数比例配分方式を選択すると取引がある全証券会社などでこの方式が自動的に適用されます。例えばこれまで配当金領収書方式で、郵便局で現金に変えることを楽しみしていた NISA口座以外の株も、株式数比例配分方式(MRFへの入金方式)に変更となってしまいます。

② 特別口座(信託銀行)に株がある場合はこの方式を利用できません。